歯の治療、歯周病が進み口腔内に大きな問題がなくなり、これから新しい新しい入れ歯を作ります。 入れ歯作りで最終的に目指すところは、残った歯、歯ぐき、歯ぐきの土台などを少しでも健康に長持ちさせ出来る限りよく咬める見た目が自然で若々しい違和感のない入れ歯を作ることです。私どもは望ましい入れ歯を作る重要な原則のもとに望ましい入れ歯をつくります。
歯を長持ちさせるには歯をしっかり磨くこと?または良い入れ歯を入れること?
入れ歯が入っていない人の歯の場合はブラッシングによりプラークの細菌を徹底して取ることが歯を長持ちさせる重要な条件です。しかし、入れ歯を入れている方の残った歯を長持ちさせる条件の第一は早く適切な入れ歯を入れて残った歯への負担を減らすことです。歯が無くなった口腔で、歯の咬み合わせが異常となりより歯に大きな力がかかり歯をゆするのを防ぐ為、1本の欠損でも(それ以上はもちろんのこと)早くより良い入れ歯を入れることです。
歯がない状態のままにしておくと、本来上下28本で咬んで食べるのが正常なのに、例えば残った何本かの歯で咬むことになると、残った歯にはとても過剰な力がかかることになり、歯の周りの歯周組織の歯ぐき・骨を弱めてしまいます。調子の悪い入れ歯は、装着期間が長いほど、歯や歯周組織を弱めることになります。
残った歯や歯ぐきの土台などを少しでも長持ちさせたい
良い望ましい入れ歯は、残った歯や歯ぐき、あごの土台を少しでも健康に長持ちさせながら入れ歯の機能を十分に発揮することです。 入れ歯と歯ぐき、あごの土台を共存共栄しなければいけません。
入れ歯の咬み合わせが異常であれば徐々に歯や歯ぐき、あごの骨を弱めていきます。
例えば、入れ歯の修復歯の咬み合わせが高いとか、又義歯のバネが強いとか歯や歯ぐきに強くあたり続けるとそれらの組織を弱めていくのです。(こういう場合は放置するのではなく、歯科医院で調整してもらわなければなりません)とにかく口腔組織は365日、常に力がかかっているので問題も起きやすいのです。
残っている歯はたとえ根だけであっても、かけがえのない大切なもの
患者さんにとっては歯はダイヤモンドかそれ以上にかけがえのないものです。他の歯を多く失ってしまった中で数十年生き抜いて、今も大きな役割を果たしているのです。
歯がすばらしいのは、根の周りに歯根膜という組織に取り巻かれているからです。歯根膜は0.25mmくらいの隙間に繊維性で満たされており、神経、血管などがあり、センサーの働きやクッションの働きもします。髪の毛1本でも感じるし、うっかり食事中に石などを咬んだ時に口を瞬時に開き歯や歯ぐき、あごの関節に異常な力がかからないようにします。ものを咬む時や、力を入れたり緊張して歯をグッと咬んだ時も歯根膜のクッションにより衝撃を和らげて歯や歯ぐきを助けます。
入れ歯の下に歯根膜で囲まれた根があると、やはりその根のあるところで咬もうとします。より咬み応えを感じることができ、おいしいと感じます。インプラントと天然歯との決定的な違いは、根の周りに歯根膜があるかないかという点で大きな違いがあるのです。インプラントを入れることにより1本新たに人の歯が入るといいますが、人の歯とは歯根膜があるかないかという点で大きな違いがあるのです。
歯や根は簡単に抜きたくない
このようにみると、歯や根は一本でも簡単には抜けません。
しかし、弱った歯や根が治療により必ずしもいつまでも残るとは言えませんが、必ず悪くなるとも絶対に言えません。弱そうでもいつまでも機能している歯や根もあれば、駄目になってしまう歯や根もあります。
一般的には歯を取り巻く骨が減ってきた歯ほどグラグラして咬みにくくなる傾向があります。入れ歯の下の歯根も常に入れ歯の咬む力を支えていますが、根の周りに骨が多くあるほど長持ちするとは限りません。しかし限りはありますが多くの歯は意外と長持ちする事実は覚えておいていただきたいと思います。
弱い歯も極力抜かずダメになった時には入れ歯を修理できるように設計しておく
このようにみると、新しい入れ歯を作る時に弱そうな歯や根であっても、是非残したいということになります。 新しい入れ歯を作るとき、どうもこの歯は弱そうであとから問題になりそうだから抜いておこうと考えるのではなく、なんとか残しどうしても日常に困ることになったらその時に対処し、そのことも予想し入れ歯の設計をしておくのがベストだと思います。
このように考えれば多くの歯や根は相当残り毎日の食事にもより多くの歯や根が貢献してくれるのではないでしょうか? もちろん弱い歯が炎症をおこし、咬むと痛いという状態が続く場合はむしろ早くあきらめて抜歯をして、入れ歯でしっかり咬むようにすべきです。